模試の合否判定に欺く

模試の成績表には偏差値や志望校の合格可能性判定などが登場するが、これらはすべて大手予備校などの、大学受験に関する研究を行う機関(ベネッセ、河合塾、駿台予備校、代々木ゼミナール、東進ハイスクールなど)が独自に集めて分析したデータに基づくものである。そのデータは全国の高校から集めたものであり、分析を実際に行う機関は大学受験の研究の第一人者であるエキスパートであるため、これらが出すデータの信頼性は高い。

これらのデータを自分の受験校選びや勉強法の改善に参考にする高校生は多いことであろう。しかし、これらのデータにはあまり目を向けるべきではないと考える受験生は存在する。受験はあくまでも受験生本人次第で志望校への合否が決まるものであり、データはあくまでも過去の統計を示していることに他ならないから、データを参考にすることは望ましくない、というのがそう考える人の意見だ。

確かに、データは100%正しくはない。だが、データは過去の事実を示しているものである。例えば、過去に東大に合格した人が高校時代に模試でどのくらいの偏差値を取っていたのかはデータから知ることができる。これによって、今後東大を志望する受験生は、自分が東大に合格するためには目安としてどれくらいの点数や偏差値を取ればよいのかを把握することができる。また、合格判定(A、B、C、D、E)からは、自分が今の成績で東大に合格できる可能性がどれくらいなのかを理解することができる。このように、過去のデータからはこれからの受験に役立つ情報を読み取ることができるのである。

また、データは他人あるいはライバルとの比較をするための資料でもある。例えば、偏差値は他人と比較した自分の学力の高さを表す指標である。これを見ることによって、自分の学力が他の人と比較してよいのか悪いのかを比べることができるのだ。全国模試で、自分の偏差値が70であれば、自分の学力は全国の他の同級生に対して優れていることを表す。逆に偏差値が30であれば、自分の学力は全国の他の同級生よりも劣ること表す。このように、データは自分の学力が他人に対して良いのか悪いのかを判断する材料であるのだ。

逆に過去の情報や他人との比較を示した情報を知ろうとしないことは、自分が志望校に合格できるかできないのかを知ろうとしないことである。それを知らないで大学受験に臨むことは、自分の現状を理解しないことである。自分の今の学力を知らずに受験校を選んでしまったら、自分がその受験先の大学に合格できるかどうかを予想することができない。例えば、もし自分の学力では東大に到底合格できないことが模試の結果が表していながらも、自分の現状を理解せずに東大を受け、結果的に不合格となったら、それは単なる無謀な受験にしかならなくなってしまう。

志望校に合格するためには自分の現状をよく理解したうえで、合格できるように対策を行うことが大切なのである。「自分だけは合格できる」と何の根拠もなしにデータに欺き、過度に低い可能性に欠けることは愚かな考えである。そう考える人はおそらく結果は悲惨であろう。実際、合格可能性が低いにもかかわらず、合格できると考えている受験生のほとんどが不合格になっているというデータも存在する。だからこそ模試のデータを活用してほしい。

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