アラブの春「エジプトver」が失敗した理由

2011年12月からアラブの国々で始まった民主化運動「アラブの春」は、結局は成功したところは一部だけになってしまった。失敗した国の1つとして、エジプトが挙げられる。

エジプトでは、民主化運動と市民のデモ活動によって、長期政権だったムバラク政権が崩壊し、自由な選挙によって選ばれたモルシが新大統領になった。モルシ氏は、ムスリム同胞団というイスラム穏健主義の組織出身ということで、イスラム的な政策を進めていくこととなった。

しかし、結局その新政権は、軍の事実上のクーデターによって短期間に終わりを告げてしまった。そして、今後は軍が政権の中枢に大きな権力をもつようになり、文民による民主化の流れは止まることになったのである。

どうして、エジプト版のアラブの春は失敗に終わってしまったのか。それは、革命後に誕生した代表に問題があったのだ。

どうして革命が失敗したのか?


エジプトで民主化の傾向が発生した直接の理由は、チュニジアで市民の手によって長期政権が崩壊したことにある。ただ、背景としては国民の暮らしへの不満が挙げられる。

エジプトでは貧富の格差が深刻な社会問題となっている。しかし、いつの時代でもそれが解消されることはなかった。そして、格差の社会問題への不満が、政府の失敗の要因となり、市民が革命を手助けすることへと至った理由なのである。

しかし、新たな大統領と議会政党が誕生しても、貧富の格差が是正されることはなかった。さらに、国全体が経済情勢を立て直すことができず、社会の混乱によって根幹的な産業であった観光産業も遂には衰退することとなってしまった。経済情勢に対して有効な手を打つことができなかったモルシ政権に対する人々の批難は高まり、もともと新大統領に強い不満を持っていた軍も、そういった民意に乗ってクーデターを起こしたのである。

なぜ、エジプトで革命の効果は薄れることになったのか。その原因は、新政権がしっかりとした政策を打ち出すことができなかったからである。もちろん、イスラムの教えを多くの人々の強要にするようになったからであるという要因も存在する。しかし、1番の理由は「貧しい人」が多い状態と、それを改善するのを実行できなかったからなのだ。

多くの市民が軍の方針に賛成したからでも、宗教色の濃さに落胆したからではない。ただ、貧しさを解消することに応えてくれない人や団体を長く支持しなかったからである。期待に応えなかったことが失敗の原因なのだ。

エジプトにはエジプトならではの文化もあり、そういった文化由来の出来事も一部存在はする。しかし、たとえどんな社会であっても、どんな文化を持つ国であっても、自分たちをより豊かにしてくれない者を支持することはないのだ。そして、政策的に成功するためには、多くの人に利益と恩恵をもたらす政策を取ることが大切なのではないだろうか。

関連記事


Share This!



Popular Posts

Followers

About